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大会長 櫻井 晃洋

第23回日本家族性腫瘍学会学術集会の大会長をおおせつかりました札幌医科大学の櫻井晃洋です。北海道での開催は、2000年に札幌医科大学の今井浩三先生、平田公一先生が第7回日本家族性腫瘍研究会学術集会を開催されて以来、17年ぶりとなります。北海道大学の山下啓子先生に副大会長をお願いし、北海道内で家族性腫瘍診療に従事する多くの医療従事者が総力をあげて、全国の皆様をお迎えすべく準備を進めております。

今回の学術集会のテーマは「家族性腫瘍の縦糸と横糸を紡ぐ」といたしました。「縦糸」とは,時代・世代を超えて過去から未来に続くものを象徴しています。現在,日本家族性腫瘍学会がテーマとして取り組んでいる疾患は、そのほとんどが遺伝性腫瘍です。遺伝性腫瘍は親から子、子から孫へと世代を超えて伝わる可能性があり、縦糸をイメージする象徴的な疾患といえますが、それだけでなく、家族性腫瘍の研究や診療も常に新しい知見を求め、それを次世代の医学研究・医療に伝えていくことが求められます。一方、「横糸」が象徴するものは「多様性」です。同じ遺伝性腫瘍であっても、その臨床像は多彩であり、病名でひとくくりにできるものではありません。病気に対する患者さんやご家族の思いもさまざまです。私たち医療者はそうしたひとりひとりの患者さんやご家族の多様性に寄り添った医療を提供する義務があります。また、家族性腫瘍をお持ちの患者さんに対して質の高い医療を提供するためには、医師、看護師、認定遺伝カウンセラー、検査技師など、さまざまな専門知識を持つ医療職者の横の連携が不可欠であり、さらに医療機関をつなぐ診療のネットワークという「横糸」も欠かすことができません。

学術集会では3つのシンポジウムを企画しています。これらはいずれも「横糸」をイメージした、疾患横断的なテーマを取り上げています。これに対し、個々の疾患における最新の話題を取り上げる要望演題セッションでは、それぞれの領域のわが国におけるリーダーの先生方にプログラムを立案していただきました。全体を通じて、ご参加の皆様には現在の家族性腫瘍領域における最新の知見に触れていただくことができるものと確信しております。

2ヒット理論が腫瘍遺伝学における最も重要な理論のひとつであることは、誰一人異論のないところと思います。この2ヒット理論を1971年に提唱されたDr. Alfred G. Knudsonが、昨年7月に93歳で逝去されました。本学術集会では、かつてKnudson先生のもとに留学された本学会前理事長の樋野興夫先生に、Dr. Knudson追悼講演をお願いしました。これもまた、先人をしのび、そこから学び、次世代にそれを伝えていく「縦糸」のひとつとして多くの皆様に聴講していただければと思います。
本学術集会は、例年より期日が遅い、8月の開催となります。日本列島が梅雨明けのうだるような暑さの中、北海道ではもっとも爽やかな時期を迎えます。ちょうどこの時期の札幌は大通公園のビアガーデンがにぎわっており、学術集会の会場からは歩いていける距離にあります。また、市内から足を伸ばせば、夏の北海道の大自然がどこまでも広がっています。夏休み期間中でもあり、ご家族お揃いでの学術集会参加もお勧めです。
多くの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。

札幌医科大学遺伝医学 教授

櫻井 晃洋